CHESTからReversed Halo Signのレビュー
Reversed Halo Sign: High-Resolution CT Scan Findings in 79 Patients
Reversed Halo Signは器質化肺炎(OP)に特徴的とされてきたが、感染症や肺塞栓症など多くの疾患でも認められ、OPに特異的サインではないと最近の教科書にも書いてある。
この論文では 各疾患でみられるReversed Halo Sign(RHS)の特徴をreviewしている。
RHSの定義はすりガラス影が2mm以上の厚さを持った壁(consolidation)で3/4周以上囲まれている事。
・RHSの壁に結節が認められるものや内部のすりガラス影に結節を認めるものは肉芽腫性疾患を疑わせる。(結核とサルコイドーシスで見られたRHSすべてに結節が認められた。)
・RHSの壁に結節が認められたのは肉芽腫性疾患だけだった(結核、クリプトコッカス、パラコクシジオイデス症などの感染症含む)
パラコクシジオイデス症のRHS
多発している
結核のRHS
壁に結節が認められる
侵襲性肺アスペルギルス症のRHS
壁が厚い
2012年5月4日金曜日
2012年2月15日水曜日
胸部単純写真
Interpretation of Plain Chest Roentgenogram
CHESTから胸部単純写真(CXR)のお話。
気になったところを抜粋
・放射線科医は70%の異常に0.5秒以内に気づく
・ 放射線科医が5秒以上読影に時間をかけても病変の検出率はほとんど変わらない
・システマチックアプローチを用いても10−15%の病変は指摘できない。(偽陽性も同じ)
・正面像(PA)では15%の肺野は心臓と横隔膜に隠れている。
・CPAが鈍になるには200−400mlの胸水貯留が必要
・ COPDなどによる横隔膜の平坦化は側面像でより容易に判明する。(前後の肋骨横隔膜角を結ぶ線と横隔膜ドームまでの距離が2.7cm未満で平坦化とする。)
・側面像で肺門部7時方向は黒い。気管分岐下リンパ節腫大があると7時方向が白くなる。
・ 側面像で胸椎は尾側へ向かうに従って透過性が高くなる。逆に透過性が低ければ下葉や後縦隔に病変がある。
CHESTから胸部単純写真(CXR)のお話。
気になったところを抜粋
・放射線科医は70%の異常に0.5秒以内に気づく
・ 放射線科医が5秒以上読影に時間をかけても病変の検出率はほとんど変わらない
・システマチックアプローチを用いても10−15%の病変は指摘できない。(偽陽性も同じ)
・正面像(PA)では15%の肺野は心臓と横隔膜に隠れている。
・CPAが鈍になるには200−400mlの胸水貯留が必要
・ COPDなどによる横隔膜の平坦化は側面像でより容易に判明する。(前後の肋骨横隔膜角を結ぶ線と横隔膜ドームまでの距離が2.7cm未満で平坦化とする。)
・側面像で肺門部7時方向は黒い。気管分岐下リンパ節腫大があると7時方向が白くなる。
・ 側面像で胸椎は尾側へ向かうに従って透過性が高くなる。逆に透過性が低ければ下葉や後縦隔に病変がある。
2012年2月3日金曜日
子宮の造影CT
Radiographicsから
Normal or Abnormal? Demystifying Uterine and Cervical Contrast Enhancement at Multi- detector CT
通常、婦人科疾患を疑われた場合は画像検査としてまずエコー、次にMRIという優先順序である。通常はCTが第一選択になる事はないが、腹痛の精査などで偶然子宮の異常が発見される事がある。
造影CTで子宮体部と頸部がどの様に描出され、それが異常なのか正常なのかを説明している。
子宮体部
Type1:内膜下かつ/または子宮筋層の外層が染まる
Type2:子宮筋層が全体に強く染まる
Type3:子宮筋層全体が淡く染まる(閉経後に多いタイプ)
これらは月経周期や造影剤の注入速度、撮影までの時間、心拍出量などで変化し、その意義はよくわかっていない。
子宮頸部
子宮頸部の造影パターンはTarget状の三相構造が認められることがありMRIに類似している。体部でType3がみられた場合は三層構造は認められない。
子宮頸癌と正常の子宮頸部はともに体部と比べて造影効果が弱い。矢状断や冠状断で観察して子宮頸部と体部が明瞭に区別できる場合は正常の事が多い。
分娩後の子宮について
分娩後6−8週までは子宮内腔が拡大していても正常。臨床的に感染を示唆する所見がなければ、3週間までは子宮内の空気を認めてもよい。
胎盤脱落部位の筋層は一部欠損したり血管増生が認められることがある。
Normal or Abnormal? Demystifying Uterine and Cervical Contrast Enhancement at Multi- detector CT
通常、婦人科疾患を疑われた場合は画像検査としてまずエコー、次にMRIという優先順序である。通常はCTが第一選択になる事はないが、腹痛の精査などで偶然子宮の異常が発見される事がある。
造影CTで子宮体部と頸部がどの様に描出され、それが異常なのか正常なのかを説明している。
子宮体部
Type1:内膜下かつ/または子宮筋層の外層が染まる
Type2:子宮筋層が全体に強く染まる
Type3:子宮筋層全体が淡く染まる(閉経後に多いタイプ)
これらは月経周期や造影剤の注入速度、撮影までの時間、心拍出量などで変化し、その意義はよくわかっていない。
子宮頸部
子宮頸部の造影パターンはTarget状の三相構造が認められることがありMRIに類似している。体部でType3がみられた場合は三層構造は認められない。
子宮頸癌と正常の子宮頸部はともに体部と比べて造影効果が弱い。矢状断や冠状断で観察して子宮頸部と体部が明瞭に区別できる場合は正常の事が多い。
分娩後の子宮について
分娩後6−8週までは子宮内腔が拡大していても正常。臨床的に感染を示唆する所見がなければ、3週間までは子宮内の空気を認めてもよい。
胎盤脱落部位の筋層は一部欠損したり血管増生が認められることがある。
2012年1月19日木曜日
痔瘻のMRI
痔瘻のMRI診断
MR Imaging Evaluation of Perianal Fistulas: Spectrum of Imaging Features
・MRIシークエンスのポイント
始めにT2強調画像(FSE)矢状断を撮影する。これによって直腸に平行な冠状断と直腸の軸位断を得る事ができる。
脂肪抑制T2WIで膿瘍やtractが描出できることが多い。
・痔瘻の分類
1) Parks分類
外科分類で直腸の冠状断面において内外括約筋(特に外括約筋がポイント)と瘻孔の位置関係でA~Dに4つに分類する。
A:Intersphincteric(括約筋間)
B:transsphincteric(括約筋貫通)
C:suprasphincteric(上括約筋)
D:extrasphincteric(括約筋外)
Grade1:Simple linear Intrasphincteric Fistula
tractは常に内外括約筋の間にあって 外括約筋に包まれている。
Grade2:Intersphincteric Fistula with an Abscess or Secondary Track
括約筋間に原発口と2次口或は膿瘍があるが、二つは交わらない。
Grade3:Transsphincteric Fistula
内外括約筋を貫いて坐骨直腸窩、坐骨肛門窩を皮膚まで下降。
Grade4:Transsphincteric Fistula with an Abscess or Secondary Track in the Ischiorectal or Ischioanal Fossa
2次口や膿瘍と交通するもの
Grade5: Supralevator and Translevator Diseases
肛門挙筋付着部より上まで膿瘍が及んだもの。稀。
MR Imaging Evaluation of Perianal Fistulas: Spectrum of Imaging Features
・MRIシークエンスのポイント
始めにT2強調画像(FSE)矢状断を撮影する。これによって直腸に平行な冠状断と直腸の軸位断を得る事ができる。
脂肪抑制T2WIで膿瘍やtractが描出できることが多い。
・痔瘻の分類
1) Parks分類
外科分類で直腸の冠状断面において内外括約筋(特に外括約筋がポイント)と瘻孔の位置関係でA~Dに4つに分類する。
A:Intersphincteric(括約筋間)
B:transsphincteric(括約筋貫通)
C:suprasphincteric(上括約筋)
D:extrasphincteric(括約筋外)
2)St James's University Hospital分類
放射線科医による分類。軸位断が基本なのでとっつきやすい。原発口だけでなく、2次口と膿瘍の有無で5つに分類。Grade1:Simple linear Intrasphincteric Fistula
tractは常に内外括約筋の間にあって 外括約筋に包まれている。
Grade2:Intersphincteric Fistula with an Abscess or Secondary Track
括約筋間に原発口と2次口或は膿瘍があるが、二つは交わらない。
Grade3:Transsphincteric Fistula
内外括約筋を貫いて坐骨直腸窩、坐骨肛門窩を皮膚まで下降。
Grade4:Transsphincteric Fistula with an Abscess or Secondary Track in the Ischiorectal or Ischioanal Fossa
2次口や膿瘍と交通するもの
Grade5: Supralevator and Translevator Diseases
肛門挙筋付着部より上まで膿瘍が及んだもの。稀。
2012年1月8日日曜日
CPFE
Combined Pulmonary Fibrosis and Emphysema Syndrome: A Review
CPFE(Combined pulmonary fibrosis and emphysema)のレビュー
肺気腫と肺線維症とは異なる現象である。
肺気腫では肺の弾性収縮力が減少し、コンプライアンスは増大、肺容積は増加、最大呼気流量は減少する。
一方で肺線維症では弾性収縮力は増加、コンプライアンスは低下、肺容積は減少する。最大呼気流量は保たれるかむしろ増加する。
肺気腫と肺線維症は独立した疾患で同一患者に認められるのは稀とされていた。しかし実際には肺気腫と肺線維化の病理学的変化の共存は喫煙者ではよく認められる。
肺気腫と肺線維症との合併患者(CPFE)では肺気腫単独、肺線維症単独の患者の肺機能検査とは異なり、肺活量、1秒量ともにほぼ正常で拡散能が著しく低下している(通常のスクリーニング検査では肺拡散能までは測定しない事がほとんど)。このため、CPFEの診断にHRCT(高分解能CT)が果たす役割は大きい。
CPFEの診断に関してコンセンサスは得られていないが、HRCTで特徴的な所見を呈する。肺機能検査で一秒量、肺活量も正常でありながら拡散能(DLCO)が異常低値を示す例ではCPFEを疑う必要がある。
CPFEの画像的特徴
CPFEでは上葉に気腫性変化、下葉に線維化が認められる。
CPFEでみられる気腫性変化は傍隔壁性肺気腫が多い。
CPFEの線維化では網状影、Honeycombingが見られるがすりガラス影もよく認められる所見である。
またCPFEでは肺癌の合併率が高いので偶発的に見つかる結節、腫瘤影には注意が必要。
CPFE(Combined pulmonary fibrosis and emphysema)のレビュー
肺気腫と肺線維症とは異なる現象である。
肺気腫では肺の弾性収縮力が減少し、コンプライアンスは増大、肺容積は増加、最大呼気流量は減少する。
一方で肺線維症では弾性収縮力は増加、コンプライアンスは低下、肺容積は減少する。最大呼気流量は保たれるかむしろ増加する。
肺気腫と肺線維症は独立した疾患で同一患者に認められるのは稀とされていた。しかし実際には肺気腫と肺線維化の病理学的変化の共存は喫煙者ではよく認められる。
肺気腫と肺線維症との合併患者(CPFE)では肺気腫単独、肺線維症単独の患者の肺機能検査とは異なり、肺活量、1秒量ともにほぼ正常で拡散能が著しく低下している(通常のスクリーニング検査では肺拡散能までは測定しない事がほとんど)。このため、CPFEの診断にHRCT(高分解能CT)が果たす役割は大きい。
CPFEの診断に関してコンセンサスは得られていないが、HRCTで特徴的な所見を呈する。肺機能検査で一秒量、肺活量も正常でありながら拡散能(DLCO)が異常低値を示す例ではCPFEを疑う必要がある。
CPFEの画像的特徴
CPFEでは上葉に気腫性変化、下葉に線維化が認められる。
CPFEでみられる気腫性変化は傍隔壁性肺気腫が多い。
CPFEの線維化では網状影、Honeycombingが見られるがすりガラス影もよく認められる所見である。
またCPFEでは肺癌の合併率が高いので偶発的に見つかる結節、腫瘤影には注意が必要。
2012年1月2日月曜日
SAPHO症候群
SAPHO症候群はSynovitis(滑膜炎)、Acne(ざ瘡)、Pustulosis(膿疱症)、Hyperostosis(骨化症)、Osteitis(骨炎)の頭文字をとって名付けられた原因不明の症候群。
SAPHOは慢性再発性多巣性骨髄炎CRMO(chronic recurrent multifocal osteomyelitis)、胸肋鎖骨肥厚症SCCH(sternocostoclavicular hyperostosis)や掌蹠膿疱症性骨関節症PAO(pustulotic arthro-osteitis)を包括する概念。
SAPHOで認められる骨病変はsynovitis、hyperostosis、osteitisで皮質骨の肥厚を認める事が特徴とされている。
骨病変は胸鎖関節を中心とした胸骨、鎖骨、肋骨の他、仙腸関節、恥骨結合、椎骨、長管骨などでも認められる。
AJRのレビュー
The SAPHO syndrome: an evolving concept for unifying several idiopathic disorders of bone and skin.
Radiographics CRMOのレビュー
Imaging of Chronic Recurrent Multifocal Osteomyelitis
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